TPP閣僚会合が開催されているシンガポールにいるNZのジェーン・ケルシー教授から重要な情報が届いた。日本のTVではまったく「自然に」報じられているが、会場ではテーマごとに数か国だけが集まり協議を行なっている。参加国は12か国であるにもかかわらず、である。
彼女からの緊急メッセージの全文(英語)は下記のサイトから読むことができる。
Heavy-handed tactics in TPPA talks aim to isolate dissenters(反対する者を「隔離」するためのTPP交渉での強引な戦術)
http://www.itsourfuture.org.nz/heavy-handed-tactics-in-tppa-talks-aim-to-isolate-dissenters/
このやり方は「グリーン・ルーム」と呼ばれWTO交渉で実施されてきた。要は事務局長などが議題ごとに設定したインフォーマル会議であり、ここに恣意的に選ばれた代表だけが参加し決めていくという極めて非民主的な運営方法だ。この方法は、米国をはじめとする先進国の主導でなされ、途上国はほんの一部しか参加できず、大きな批判の対象となった。その悪評高き「グリーン・ルーム」が、現在シンガポールTPP閣僚会合でもやられている、というのだ。
ケルシー氏によれば「どのテーマにどの国を呼ぶかの選別・決定には米国がかなり関与している」という。例えば知的財産分野では米国と対立する5か国(NZ,マレーシア、チリ、シンガポール、カナダ)のうち「たった1か国」だけが「グリーン・ルーム」に呼ばれている。これもWTO交渉でも見られた構図で、米国にとっては反対する国々が多くいれば分が悪い。しかしまったく呼ばないのも批判を浴びる。だから反対勢力の国々の中から1~2か国だけを参加させ、反対する国を孤立させながらも、形式的には反対派とも合意したとしながら進めていくのである。
このような「グリーン・ルーム」形式は、決定プロセスや協議内容も含めてもちろん「秘密」である。そしてそのこと自体が大問題だ(日本のメディアは「グループごとに協議しています」などと能天気に報じるが)。すべての分野において全参加国が同じテーブルについて協議しない限り、交渉の正当性は認められない。
日本政府は、こうしたやり方自体を批判し、グリーン・ルームをやめさせるべきである。
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