2013年2月10日日曜日

動き始めた自民党TPP推進派


 1月末の国会開会以後、安倍首相の訪米が221日に決まった。その動きに呼応するように、TPPをめぐる自民党内、その他議員の動き、推進派の動きも少しずつ見えてくるようになった。

 すでに指摘したように、財界は選挙結果や自民党のTPP政策などとはまったく無関係に、一貫してTPP参加を求めている。

 自民党内には「TPP参加の即時撤回を求める会」という組織が選挙前からあり、選挙後、大きくその数を増やしている。27日には会合を開き、業界団体などからの意見聴取を行ったほか、議員から参加反対の意見が次々と出たようだ。メンバー数も衆参合わせて233名となり、全自民党議員の過半数を軽く超えている。

 一方、これに対して、党内の「TPP(=自由貿易)推進派」がいよいよ動きだした。日経新聞によると、「TPP賛成派の勉強会が213日、政権交代後の初会合を開く」という。同紙によれば、先の衆院選で初当選した新人議員らの参加を募り、TPP推進の立場から意見交換をし、安倍首相が交渉参加に踏み出しやすくなるような環境を整える、という目的だという。


2011年10月、「両立に関する研究会」中間報告を記者発表する川口順子氏
 報道によれば、この会の名称は明らかにされておらず、「川口順子元外相と中村博彦元総務政務官が共同代表を務める」とだけ書かれている。実は、この2人が呼びかけ人となり、2011年、「貿易自由化と農林水産業振興の両立に関する研究会」(以下、両立に関する研究会)という自民党議員中心の議員連盟が設立されている。当時は自民党は「野党」だったため、大きく注目されなかったが、継続的な活動を行い、20111027日には「中間報告」※を出している。同会はTPPへの参加と農業の振興は両立することが可能だと主張し、アジア・太平洋地域の経済成長によって日本経済を活性化できるとして、「決して日本に不利なものではない」「交渉参加を真剣に検討すべきだ」と結論づけている。

 自民党内のTPP反対派である「即時撤回を求める会」事務局長の山田としお参議院議員は、同じ党内の賛成派である「両立に関する研究会」について、菅首相がTPPについて言及した2か月後の201012月、次のように述べている。

「『貿易自由化と農林水産業振興の両立に関する研究会』の動きですが、これでは、自分を支えるべき民主党内から反対が出てアップアップ状態の菅総理に塩を送るようなものです。もちろん、製造業等の関係者から『貿易促進とデフレ脱却のためにTPPが必要だ』との声もありますが、それが内容の全く分からないTPPへの参加なのかどうか、円高や金融調整や思い切った財政刺激策なのかどうか、多層的な論議が必要なのに、それをしないで農業に責任を転嫁してしまっているのはおかしいことです。」(同議員のメルマガより)

 つまり、2010年秋の時点から、自民党内では「TPP賛成・反対」の対立は潜在的にあったが、野党時代はその対立自体が意味を持たなかった。しかし今回の選挙後に与党になったことで、その対立は必然的に際立ち、20132月の時点でより鮮明になってきたというわけだ。

 同会についての詳しい調査・分析は私自身、進めているが、とにかく民意を反映したTPP反対・慎重という姿勢に対し、一方的な「推進」をはかろうとするこれらの動きに対して、私たちはさらに監視して いかなければならない。



 

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