3月29日に掲載したブログ記事「米国の国会議員はTPP交渉テキストの全文の閲覧が可能―日本ではなぜ、できないのか?」の補足として、関連資料・報道などを下記にまとめていきます(随時更新していきます)。英文記事が多いので簡単な解説もつけておきます。
★米国の国会議員が「これまでTPPテキストを閲覧できていたこと」および2015年3月に「政府がその条件を緩和し『すべての国会議員にテキスト全文を見せる』ようにしたこと」を示す情報、関連記事
1.USTRのウェブサイト(2015年1月)
TPPやTTIPなどオバマ政権の貿易交渉における説明責任・情報公開について書かれており、その中に「国民の代表である国会議員との協働について」という項目が立てられている。以下がその内容である。
◆国民の代表である国会議員との協働について
政府は国民の代表である国会議員と緊密に協力して我々の目指す野心的な貿易協定を追求している。この協力には以下が含まれている:
・すべての国会議員に対して、交渉テキスト全文へのアクセスを提供する。議員は国会の中で都合のよい時にテキストを見ることができる。またしかるべきセキュリティ許可を得た議員のスタッフを伴って閲覧することもできる。
・TPPに関してだけでも1700回近くの議員へのブリーフィングをもってきた。ま
たTTIPやTPA、AGOAその他についてもそれ以上行っている。
・国家議員に対して、交渉テキストのナビゲーションのために、TPPの各章の要約版を提供する。
・国会議員に対して、議会の委員会とともに作成した交渉での米国の提案を、交渉のテーブルにつく前に見せる。
・(USTRは)議会とともに働き、あらゆる段階において議会のフィードバックをもらい、交渉内容を更新していく。
2.米国政府のTPP交渉テキストの閲覧条件緩和を報じるロイター記事(3月18日)
http://www.cnbc.com/id/102516379 全文翻訳は下記。
米政府がTPPの文書閲覧条件を緩和、議会の懸念払しょくへ
[ワシントン 18日 ロイター]
米政府は18日、環太平洋連携協定(TPP)の草案に関する閲覧条件を緩和する方針を議会に示した。TPPをめぐっては交渉内容が不透明なことへの懸念の声が出ており、一部の議員らは文書へのアクセスに条件が課されていることに不満を示していた。
条件変更は、米通商代表部(USTR)のフロマン代表とルー財務長官が出席した民主党の集会で明らかにされた。
フロマン代表は、新たな措置によって議員らはTPPの各章の要旨に加え、全文を閲覧できるようになると説明。声明で「われわれが労働者、企業、農業従事者のために米国にもたらそうと取り組んでいる利点について、議会メンバーが十分理解できるよう、前例のない追加措置をとった」と述べた。
3.米国政府のTPP交渉テキスト閲覧条件緩和に関してのロイター記事(詳細版)(3月19日)
「秘密交渉に苛立つ国会議員」と題され、3月18日に発表された国会議員へのテキストアクセス条件緩和について詳しく報じている。やはりロイターの配信だが上述の記事のさらに詳細。
4.米国政府のTPP交渉テキスト閲覧条件緩和に関しての"The Hill"記事(3月18日)
http://thehill.com/policy/finance/236114-white-house-provides-more-access-to-trade-deal-details
2と同様に、USTRによる閲覧条件緩和を報じる記事。
5.米国政府のTPP交渉テキスト閲覧条件緩和に関しての"Inside U.S. Trade"記事(3月18日)
"USTR To Place TPP Text In Capitol For Members To View With Cleared Personal Staff"
4.米国政府のTPP交渉テキスト閲覧条件緩和に関しての"The Hill"記事(3月18日)
http://thehill.com/policy/finance/236114-white-house-provides-more-access-to-trade-deal-details
2と同様に、USTRによる閲覧条件緩和を報じる記事。
5.米国政府のTPP交渉テキスト閲覧条件緩和に関しての"Inside U.S. Trade"記事(3月18日)
"USTR To Place TPP Text In Capitol For Members To View With Cleared Personal Staff"
主には上記2~4の発表内容を報じているが、後半に「民主党下院議員のロイド・ドッゲッド氏らはこれまでも繰り返しUSTRが秘密交渉のテキストを見せないようにしていることへの不満を訴えてきた」との記載がある。また「1月27日に開かれた下院予算委員会にて、共和党のポール・ライアン予算委員長も政府に対し国会議員へのテキスト閲覧条件を緩和するよう求めた」と、両党からの緩和要求がなされていたことを併せて報じている。
※有料サイトにつきリンクはありません。
6.ニューヨークタイムズ紙の記事(2015年3月25日)
3月25日のウィキリークスによるTPP交渉・投資分野のテキスト公表の後に書かれた記事。記事の趣旨はテキスト中のISDS条項がいかに危険かを訴えるものだが、文中に以下の記述がある。
Members of Congress have been reviewing the secret
document in secure reading rooms, but this is the first disclosure to the
public since an early version leaked in 2012.
国会議員はこれまで管理された部屋の中で秘密文書を閲覧してきた。しかし2012年にリークされた初期のバージョン以来、公に発表されたのはこれが初めてである(=ウィキリークスのテキストのことを指している)。
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