7月末にマレーシア・クアラルンプールにて行われた「RCEPに対するNGO国際会合」に参加した団体が中心となり、下記の国際共同要請文をリリースしました。
RCEPには知的財産、ISDSなど様々な問題がありますが、日本ではほとんど理解されていません。TPP同様、PARCでは今後RCEPに対するウォッチとロビイングを強化していきます。ぜひご覧ください。
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公衆衛生と健康に関わる市民組織は、
RCEPにおいてジェネリック医薬品へのアクセスに
悪影響を及ぼす条項を拒否することを各国貿易大臣に求める
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RCEPには、知的財産(IP)に関する章があり、生命を救うために欠かせない医薬品へのアクセスに関わる内容が書かれている。2016年4月にリークされた文書によると、韓国と日本は、医薬品特許による独占期間を延長する規定と、データ排他性に関する規定を提案していることがわかった。これは、入手可能なジェネリック医薬品が市場に出ることを遅らせることにもつながる内容であり、またWTOのTRIPS協定が求める知的所有権の保護規定を越える内容である。
この章によって特に、特許の保有者と市民の健康への権利との間の公正なバランスを保つことを目指しているインドの知的所有権法に対する影響が懸念されている。
インドは世界最大のジェネリック医薬品の製造国であり、世界の低中所得国(LMIC)におけるHIV感染者に対する抗レトロウイルス(ARV)ジェネリック薬の80%以上を供給している。インドのジェネリック医薬品産業は年月をかけて、ARV薬のコストを最大98%も下げてきた。それによって必要な医薬品にアクセスできる人の数は劇的に増加することになった。
もしインドがRCEPで「TRIPSプラス」の規定に署名することを強制されるならば、世界でも最も貧しい低中所得国の人々が、入手可能なジェネリック医薬品にアクセスできなくなるという深刻な危機に直面する。たとえば、マレーシアはインドでは一般的なARV薬を国内のHIV陽性の人びとに無料で提供している。もしマレーシアがインドのジェネリック薬にアクセスすることができなくなれば、マレーシアはこれまでのようなHIV患者への治療プログラムを継続することができなくなる可能性が非常に高い。
RCEPには、インドネシア、フィリピン、タイ、中国、ベトナムのように、入手可能な医薬品へのアクセスを確実にするには巨大な人口を抱え、また経済的に困難を抱える低中所得国も含まれている。ラオス、カンボジア、ミャンマーの後発開発途上国(LDC)は、入手可能な医薬品へのアクセスを提供するために苦労しており、WTOの医薬品の知的財産保護規定を2033年まで延長するため努力をしている(これらの国がLDC諸国である限り、延長する資格があることを求めている)。
国連合同エイズ計画(UNAIDS)は、アジア太平洋地域でHIV治療を必要としている人のうちわずか3分の1の人びとしか実際にその治療にアクセスしていないと報告している。もしRCEPが知的所有権保護の高い水準で同意されれば、治療にアクセスできない人の数は増加するだろう。
RCEPのような地域貿易協定において知的所有権に関する章を正当化する理由はない。
私たちは、すべての交渉国に、RCEPにおいてあらゆる「TRIPSプラス」措置を拒絶することを求める。特に、韓国や日本、オーストラリアやニュージーランドのようなより豊かな国に対して、世界の貧困層の医薬品へアクセスを脅かす知的所有権の条項を押しつけることをやめるように求める。
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