2016年10月29日土曜日
8320ページにも及ぶTPP協定文。日本政府訳は2328ページのみ
国会でのTPP審議も進められていますが、TPP協定文は膨大です。
英文の協定文は8320ページもあります。
そのうち日本政府が仮訳しているのは、2328ページと28%ほどであり3割にも達していません。
8320ページの協定文のうち、日本政府が3割弱しか仮訳をしていない理由は、各国の関税譲許表(各品目と関税を何%いつまでに下げるかという膨大なリスト)までいちいち翻訳できない、という判断です。しかし条約批准に際してそれでいいのだろうか?という論点は残ります。他国の交渉結果と比較して初めて、日本の得たもの・失ったものが見えてくるということもあります。また何を訳すか・訳さないかという判断を政府が勝手に行うことも疑問です。
私は10月27日の衆議院TPP特別委員会の参考人質疑に出席いたしましたが、 その際にもこの表を委員全員に行き渡る配布資料として提出しました。
10月28日、民進党の玉木雄一郎議員も原文と仮訳問題にふれています。そのやりとりを以下にご紹介します。日本政府の仮訳では「関税にかかる約束」とされていますが、英語の原文では「Tariff elimination)=「関税撤廃」という意味です。
玉木:協定文は全部で約8300ページある。何ページ訳したのか?
岸田外相:協定本文500ページと日本に関係する付属書1900ページ分を訳した。
玉木:他国の部分は訳したのか?
岸田:他国は概要という形で報告した。
玉木:3割しか訳せていないというのは不十分だ。
玉木:なぜTariff eliminationを「関税撤廃」ではなく、「関税に係る約束」と訳したのか?
岸田外相:過去の例に即した。
玉木:TPPの本質がここにある。英文は撤廃になっている。各国とも関税撤廃のスケジュールを書いている。過去にそんな例があるのか?
玉木:Eliminationの通常の訳は何ですか?
岸田外相:直訳すれば撤廃。より実際を反映するために訳を工夫した。
玉木:7年後の見直しは関税、関税割当、セーフガードも対象。英語の原文に本質がある。関税撤廃と訳すべき。ごまかしばかりだから信頼されないのでは?
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