2018年9月27日、日米首脳会談の結果、両国は共同声明を発表。日米物品貿易協定(TAG)交渉を開始することになった。政府によればTAGとは「包括的なFTAではない」と説明するが、包括的かどうかは問題ではなく、国際的にはFTAとしか説明ができない。仮にFTAでないとすれば、GATTに規定される最恵国待遇の例外とはならず、日本はTAGで決めた関税をWTOのすべての加盟国に等しく適用しなければならない。このWTOとの整合性問題は実は非常に大きく、別途より詳細に検証したいと思う。
とにかく米国におけるTPA(貿易促進権限)手続きが終わる約3か月後には実際の交渉が始まる。この物品貿易交渉一つとっても日本の農産物市場には大打撃であるし(TPP水準でとどまったとしてもである)、また交渉中日本の自動車に関税をかけないということも約束したというが、交渉の推移次第でどうなるかもわからない。交渉自体が早期に決裂し、ただちに関税をかけられる危険もあるのだ。
ところで私が日米共同声明を読み、最も注視しているのが物品貿易交渉以外の部分である。今回決まった交渉の枠組みとスケジュールの全体像と言ってもいい。まずは共同声明文の第3項および4項を引用する。
3 日米両国は、所要の国内調整を経た後に、日米物品貿易協定(TAG)について、また、他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについても、交渉を開始する。
3. Japan and the United States will enter into negotiations, following
the completion of necessary domestic procedures, for a Japan-United States Trade
Agreement on goods, as well as on other key areas including services, that can
produce early achievements.
4 日米両国はまた、上記の協定の議論の完了の後に、他の貿易・投資の事項についても交渉を行うこととする。
4. Japan and the United States also intend to have negotiations on
other trade and investment items following the completion of the discussions of
the agreement mentioned above.
出典:内閣官房TPP等政府対策本部
メディアでは物品貿易協定について主にクローズアップされているが、第3項では物品貿易協定とともに、「他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについても、交渉を開始する」と記されている。要するに「物品貿易協定」と「早期に結果が出せる重要分野」の二つの交渉が同時に始まる、ということである。
問題は、この「早期に結果が出せる重要分野」とは何かということだ。サービスも含むとあるので相当に広範囲なものの中から、「早期に結果が出せる」ものとしてピックアップされたものであるわけだが、日米間の長いTPPでの交渉の推移や、また今回、自動車への関税だけは避けたかった日本政府の立場から考えても、当然、これは「米国にとって有利な結果となる分野・項目」と読むのが自然だろう。
ここでどのような内容が議論されるのか、またこの「早期に結果が出せる分野の交渉」の枠組みは、物品貿易協定のような形とならない可能性が高い。つまりいつどこでどのような内容で交渉されるのかが極めて見えにくいことになるだろう。
さらに、第4項を見ると、「上記の協定の議論の完了の後に、他の貿易・投資の事項についても交渉を行うこととする」とある。ここには投資の他、サービス、非関税障壁などあらゆる分野(要するに物品貿易以外のすべて)が盛り込まれてくる可能性が高い。言い換えれば、これらの分野から「早急に結果が出せる」部分が第3項で先んじて交渉対象になると言ってもいいだろう。
まとめると、今後の日米交渉は、①物品貿易協定および②その他分野で早期に結果が出せるもの、が並行して進み、さらに①の妥結前後に③投資、サービスなどの分野の交渉が始まる、という建付けになっている。結局、③まで完了すればTPPがカヴァーした多くの分野が交渉されることになる。その意味で、現時点では「FTAではない」と強弁する政府も、最終的には「包括的なFTA」となる(すべてが含まれるFTAという協定の形をとるかどうかは別として)ことをもちろん理解しているはずだ。
さて、最も気になるのは、では②や③にどのような分野が含まれてくるのか、とりわけ②の「早期に結果が出せる分野」とは何か、という問題である。端的に言えば以下のような項目になることが予想される。
1.TPPにおける日米並行協議において取り交わした約束
2.米国のTPP離脱後から現在までで改めて米国が日本に求めている内容
1.のTPP交渉時に日米が取り交わした約束には、自動車の非関税措置や保険、食品添加物の規制緩和などが米国から片務的に日本に求められる内容が記載されている。米国にとっては、「一度日本が呑んだ水準だろう」と、当然これらの厳格な実行を求めてくるだろう。
※TPPにおける日米並行交渉に関する文書はTPP等政府対策本部のウェブサイト参照
2.については、2018年3月の米国外国貿易障壁報告書をはじめ、トランプ大統領が就任して以降、現在までに改めて提示されている、米国から日本への様々な要求がある。これらのうち、「早期の結果が出せるもの」が順次挙げられていく可能性が高い。特に、日本の薬価算定制度の改定に対して強く批判をしている米国製薬業界、また韓米FTA再交渉でも論議となった為替操作に関しては交渉のテーブルに乗せられるのではないか。
以下に、私自身が2018年5月にTPP11批准審議が国会でなされた際、参考人として国会に出席した際に配布した資料の中から、「TPP11と日米FTAへの懸念」という部分を抜粋してご紹介する。5月時点で憂慮したシナリオは、現実となっていることが確認できよう。ここで挙げた様々な要求が、今後米国が「日米物品貿易協定」および「早期の結果が出せる分野の交渉」の内容にほぼ重なるのではないか。
茂木大臣は日米共同声明発表直後の記者との質疑にて、「(TAGの交渉入りの前に)日本では特に国内手続きは必要ない」と明言している。確かに法的な手続きは必要がないということにはなるが、しかし「FTAではない」と強弁する政府の見解は、どうみても無理があり、WTOとの整合性も含めた国会・国民への丁寧な説明が絶対に必要である。またTPP11批准の時点から「FTA入りはしない」と約束していた政府のスタンスの変化について、改めて国会で論議する必要もあろう。
「攻めるべきところは攻め、守るべきところは守る」と茂木大臣は説明するが、では日米物品貿易交渉やその後に延々と続く投資・サービス分野での交渉において、日本の「攻めるべきところ」とはいったい何なのか。TPP交渉では、日本から米国へ輸出する乗用車の2.5%の関税は25年をかけて段階的に撤廃、25%のピックアップトラックなどの関税は29年維持して30年目に撤廃することが合意された。政府は農産物に関しては「TPP以上の譲歩はしない」というが、それならばこの乗用車関税に関して、かろうじて日本が米国に約束させたこの関税撤廃を、「TPP以上は譲れない」と言って実現させるのが筋であろう。しかしご存知の通り、実際にはこの条件の実行を念押ししてくるどころか、逆に日本車への関税を何とかかけないでほしい、とその他の条件をあれこれ差し出してきたという状態である。
こうしたちぐはぐで片務的な交渉を始めると約束してきたからには、国会で交渉入りについて改めて議論し、採決をするという扱いをとってもおかしくないレベルの話である。
臨時国会は10月26日からと予定されているようだが、米国での国内手続きとしてのTPA取得には90日かかる(TPAが通らなければ米国は事実上交渉に入れない)。日本の国会でもしっかりと今回の合意の全体像を明らかにし、交渉入りをするのかどうかも含めて判断されなければならない。
★以下、国会での参考人質疑において配布した資料のうち「TPP11と日米FTA」に関する文章(2018年5月)
2.TPP11と日米FTA
米国の離脱後、TPP11となってから、TPPの本質的な意味は大きく変わった。当初TPPは米国が自国のグローバル企業の強い意向を受け、自国に有利になるようルールを書き換えるためのツールとして機能してきた。しかし米国離脱後、米国の通商交渉方針は未だ明瞭でない部分も多いが、明確なことは、米国がTPP12に復帰(もしくはTPP11に加入)する可能性は当面ないということだ。
現在、米国の通商交渉の優先順位と2018年中のタイムテーブルを整理すると、以下のようになる。
(1)通商拡大法232条の発動
(2)知的所有権侵害への通商法301条の発動
(3)NAFTA再交渉および米韓FTA再交渉
(4)日本との二国間交渉(日米FTA)
日本との新協議については6月から本格化するが、秋の米国大統領選中間選挙に向けて成果を打ち出したいトランプ政権としては、日米交渉の中で明確な成果を上げるべく要求してくることは必至である。
日本政府は、「米国がTPPに復帰するよう働きかける」とともに、その手段の一つとして「TPP11を早期発効させる」としている。つまり、TPP11を発効させ参加国を増やし、RCEP等の他のメガ協定も次々と発効させてゆけば、米国はその経済効果の恩恵を受けられないことを回避するためTPPに復帰してくる、というシナリオである。経済的利益が激減したTPP11を日本政府が推進する最大の理由の一つは、このことであるといってもいいだろう。
しかし、このシナリオは果たして起こり得るだろうか? トランプ大統領の言動や米国のこれまでの動きを分析する限り、現時点では相当に楽観的な想定であると言わざるを得ない。より現実的なのは、TPP11や日EU経済連携協定が発効することで米国が危機感を抱いたとして、逆に日本など他国に対して、二国間でより強硬な姿勢で要求を高めてくることだ。
事実、米国から日本への要求はTPP11の進展に合わせるかのように具体的になってきている。米国通商代表部(USTR)が2018年2月28日に公表した『2018年通商政策課題』においては、対日政策として「慢性的な貿易障壁・不均衡・貿易赤字に対処するために、対等で確かな市場アクセスを追求」すると記載されている[1]。実際、これまでの経済対話においても、米国が「非関税障壁」と批判する日本の騒音・排ガス検査については、日本がすべての国からの輸入車を対象に、現在の「50台に1台」の検査割合を減らす方向で合意がなされた他、両政府は米アイダホ産ジャガイモと日本産の柿について互いに輸入制限を解除することでも合意してきた。
また毎年3月末に提出される『外国貿易障壁報告書2018』において、日本に関する記述から「TPP」という文言は消え、「米国輸出にかかる幅広い日本の障壁を除去することを求めていく」としている。その上で、2017年に行なわれた原料原産地表示制度(COOL)改正に関して、「米国の輸出食材に悪影響を及ぼす潜在性がある」と指摘する他、これまでも繰り返されてきた要求項目(収穫前後で使用される防かび剤の要件、ポテトチップ用ばれいしょの輸入停止措置、米・小麦・豚肉・牛肉の輸入制度、日本郵政・共済などの金融保険サービス、知的財産権分野、医療機器・医薬品分野)の障壁を指摘している。
米国は経済対話の場であれ、今後の日米協議の場であれ、対日貿易赤字の解消のためこれらの中から様々な要求をしてくるであろう。以下は具体的にその例として考えられる内容である。
1.農産物輸出団体の要望
2017年2月7日、全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)と全米豚肉生産者協議会(NPPC)は、トランプ大統領に対し、日米FTA交渉の早期着手を要請する書簡を送った。米食肉業界は対日輸出の増加を目指しており、同年2月10日の日米首脳会談を控え、トランプ氏に日本への交渉提案を促す狙いがあったとみられる。
当初、両業界団体はTPP協定を支持していたが、米国離脱後は日米FTAの推進に方針を転換している。書簡は「日本には米国産の牛肉、豚肉に強い需要がある。関税撤廃・削減などが行われれば、我々の存在感が大きくなる」「日本と包括的な協定を結ぶことができれば、牛肉と豚肉だけでなく多くの分野で重要なFTAとなるはずだ」と指摘。TPP合意では日本を中心とした各国の市場開放で米国内に9000人近い新規雇用が見込まれていたとして、雇用創出効果を強調した。
また2017年2月6日には、コメや乳製品を含む米食品・農業関連企業や業界など87団体もトランプ大統領に書簡を提出。日本には直接言及していないがTPP合意をもとに各国に市場開放を求めるよう要請している。もちろん米国のコメ、牛肉・豚肉、大豆輸出業界は一方で米国がTPP交渉で得た関税撤廃などの利点を損なわないため米国のTPP復帰を望みつつ、それが実現しないのであれば二国間FTAでの条件獲得をトランプ政権に要望している。最近の動きで言えば、米中の関税報復合戦の中で中国が米国産豚肉や青果物、ワインなどに最大25%の関税を上乗せしたことは、米国輸出団体にとって死活問題であったため、トランプ大統領への不満が噴出した[2]。とりわけ米国農業にとって大きな打撃となるのが大豆である。米国から中国へ輸出される農産物の中で大豆の輸出額は突出している。この結果、「中国がダメならば日本へ輸出を」という声が高まる可能性もあろう。
2.製薬業界の要望
製薬業界も日本に対して厳しい批判をしている。米国研究製薬工業協会(PhRMA)は、2018年2月16日、米国通商代表部(USTR)に意見書を提出し「スペシャル301条報告書2018[3]」の中で日本を「優先監視国」に指定するよう要請した。PhRMAは日本を「優先監視国」に指定すべき理由として、意見書の中で①新薬創出加算の不適切かつ差別的な見直し、②特例拡大再算定や最適使用推進ガイドラインなど、懸念のある改革の実行、③薬価制度改革に関して、業界が意見を述べる機会が与えられないなど政策決定の透明性の欠如、④毎年改定や費用対効果評価をめぐる議論などによる予見性の欠如─を挙げている。特に新薬創出加算の新要件に関しては「市場アクセスの障壁」として詳細に触れ、特に企業要件については日本企業に有利に働く要素があると指摘。内外資企業を公平に扱う義務に反すると厳しく批判している。
USTRは1974年米国通商法に基づき外国貿易障壁報告書(NTEレポート)を毎年3月末に作成、議会に提出している。スペシャル301条報告書はNTEレポートの提出後30日以内に公表し、知的財産権保護が不十分な国や公正で公平な市場アクセスを認めない国を、警戒レベルの高い順に「優先国」「優先監視国」「監視国」として指定するものである。
結果的に、日本は上記の監視国・優先国には挙げられていないが、同報告書の中には日本に関する指摘が複数個所存在する。2018年の同報告書の中でUSTRは、「医薬品や医療機器の価格設定や払い戻し政策に関して、透明性と公平性を確保し、その他の懸念事項に取り組むために日米経済対話の文脈において日本と提携していく」(傍線筆者)としている。このことから、米国にとってのこの課題は、日米経済対話および新協議の中で当然持ち出されるものと考えられる。
これに呼応して2018年4月12日、来日した米国研究製薬工業協会(PhRMA)のロバート・A・ブラッドウェイ会長(米アムジェン会長)は記者会見で、日本の薬価制度の抜本改革について「将来に深刻な影響を与える」と強調した[4]。これまでグローバル企業の経営陣は日本について「予見可能性が高く、イノベーションに報いる国」と評価していたが、今は懸念を強めているといい、「今後も制度改正を重ねることで予見可能性が損なわれるのなら、日本以外の他国に投資しなければいけなくなる、投資家の理解を得られなくなる」などと訴えた。氏はスペシャル301条報告書への提言同様、新薬創出加算について日本の制度見直しによって対象品目が40%削減されたことを問題視。また「3年以内・3番手以内」と市場に出した早さでイノベーションを評価する手法についても不適切だと指摘した。企業要件が中小企業に不利なことや、PhRMA加盟日本法人の過半数が「区分1」を取れなかったことなども紹介し、「イノベーションの阻害は対日投資にマイナス影響を及ぼす」と危惧した。
3. 地理的表示(GI)関する米国の利益保護
スペシャル301条報告書では、EUが日本をはじめ他国との間で積極的に推進する地理的表示(GI)も指摘されている。EUとの間で農産物加工品の貿易赤字を抱える米国にとって、地理的表示が適用されるEU製品の拡大は脅威であり、これらへの対応として、EUに対してはもちろんのこと、EUとFTA/EPAを締結・交渉中の日本、カナダ、メキシコ、マレーシア等多数の国に対しても、米国の製造者が不利にならないような措置を求めていくとしている。このことは早急に日米協議の対象とはならないかもしれないが、日EU経済連携協定の中で、EUおよび日本が地理的表示を推進してきた経緯からも注意が必要であろう。
4.米韓FTAからの教訓1-自動車
米韓FTA再交渉では、韓国製のピックアップ・トラックの関税の撤廃期限がこれまでの2021年から20年も延長された。ピックアップ・トラックは米国で人気の車で、ゼネラル・モーターズ(GM)などの米国メーカーも生産しており、自国産業の保護が優先された形だ。一方で、韓国側が輸入できる米国車の台数の引き上げでも合意した。自動車産業は、米国でも製造業の象徴的な存在に位置付けられ、雇用の大きな受け皿だ。日本とのFTA交渉になれば、米国車が日本でより多く販売されるよう規制緩和や税制などを含めた制度の見直しを迫ってくる可能性が高い。
5.米韓FTAからの教訓2-為替操作禁止条項
米韓FTA再交渉では、米国の要求で通貨安の誘導禁止(いわゆる為替操作禁止条項)も合意した。これによって韓国政府は、急速なウォン高が進んでも競争力を回復させるために為替介入の手段を取ることは非常に困難となる。米国はメキシコ、カナダとのNAFTA再交渉でもより強制的な為替条項の明記を要求している。日本とのFTA交渉でも、為替問題が取り上げられる可能性がある。
米国議会に半年ごとに提出される外国為替報告書で、すでに日本は5回連続で「監視対象」に指定されている。TPP12交渉時にも、為替操作禁止条項の行方が一時注目されていた。米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)は6月に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げを決める見通しであり、日米の金利差が開けば金利の低い方の日本の円を売ってドルが買う動きが強まり円安ドル高が進行する。利上げをきっかけに、円安に対する不満が高まる恐れがある。
6.米韓FTAからの教訓3-鉄鋼・アルミ問題
一方、米韓FTA再交渉で韓国が獲得したのは、鉄鋼の輸出を控える代わりに、米国が発動した鉄鋼・アルミニウムの輸入制限から除外されたことである。しかしそもそもこの輸入制限自体は、米国が仕掛けてきたことであり、輸入制限からの除外といっても以前の貿易環境に戻っただけである。逆にこの原状復帰措置を得るために、鉄鋼輸出の抑制や自動車や為替操作禁止条項を呑んだということであろう。日本は鉄鋼・アルミの輸入制限の対象とされ続けているが、国内産業への影響がさほどないという消極的理由から、米国WTOへ訴える措置もとっていない。2018年4月17-18日の日米首脳会談において、安倍晋三首相はトランプ大統領に対し、日本は米国の同盟国であり、日本の鉄鋼・アルミ製品輸出が米国の安全保障に悪影響を与えることはないこと、高品質の日本製品が米国産業や雇用に貢献していることなどを訴え、適用除外を求めたが、同大統領は引き続き日米間で議論を行なうとして、日本を苦に別適用除外とすることを認めなかった。今後、韓国と同様、二国間交渉の中でこの措置の現状復帰のために別のものを譲歩していくことが懸念される。
2018年5月15日付の日本経済新聞に次のような記述がある。
「TPP11では、発効まで米国との2国間交渉に進まないとの申し合わせがある。合意を主導した日本が約束破りをすれば一気に信頼を失いかねない」[5](傍線筆者)。日本政府がCPTPP発効前に米国との交渉に入れない事情を説明しているわけだが、しかし事実、2018年6月から新協議はスタートする。まさに袋小路の状況にあるのではないか。
[1] USTR, 2018 Trade Policy Agenda and 2017 Annual
Report of the President of the United States on the Trade Agreements Program https://ustr.gov/sites/default/files/files/Press/Reports/2018/AR/2018%20Annual%20Report%20FINAL.PDF
[2] 「米中貿易摩擦 ヒートアップ 高関税で農業標的中国が“揺さぶり” 米国の業界団体 政権への不満募る」日本農業新聞 2018年4月8日 https://www.agrinews.co.jp/p43759.html
[3] USTR, 2018 Special 301 Report https://ustr.gov/sites/default/files/files/Press/Reports/2018%20Special%20301.pdf
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