2013年4月21日日曜日

TPPで日本はどこまで「奪われる」のか?―「日米事前協議」の今後を「USTR貿易障壁報告書」から読み解く


「秘密」と「ごまかし」に包まれたTPP日米事前協議については、すでに発信した。このままでは、「何が本当に決まったのか」「これから何が起こるのか」、私たちにはまったく知らされないまま、日本がTPP交渉に参加してしまう危険性がある。事前協議の段階で、すでに何の国益も守れていないどころか、日本は自動車や保険、非関税措置などについての内容を米国に差し出していることは明らかになった。USTRの発表文書には、これら日本の譲歩内容について「日本が『一方的に』表明した」と書かれている。これを私は屈辱と怒りを持って改めて読む。

 さて「自動車」「保険」などの個別具体的な項目については、米国の発表ではかなり詳細な合意内容が書かれている。非関税措置についても、日本は「保険」「透明性/貿易円滑化」「投資」「規格・基準」「衛生植物検疫措置」5つの項目だけだが、米国側はこの5つに、「知的財産権」「政府調達」「競争政策」「急送便」の4つを加えた9項目を挙げている。米国側はより明確に9項目を今後の二国間交渉のテーブルに乗せる、としているのだ。

 そしてすでに述べたように、米国側は「今後も非関税措置については交渉項目が増える可能性がある」と言及している。

 この間、このことについていくつかの質問を受けた。
「挙げられた9項目以外に、どんなものが対象となるのか?」という問いだ。

 ある根拠をもって、これに答えることができる。
 今回はこのことをできるだけ多くの人に知ってもらいたい。

「USTR外国貿易障壁報告書2013」
 米国代表通商部(USTR)は、「外国貿易障壁報告書」(National Trade Estimate Report on Foreign Trade Barriers:通称「NTEレポート」:注1)という文書を毎年3月末にリリースする。USTR1974年の米国通商法(The 1974 Trade Act)に従い、大統領と上院財政委員会、そして下院のしかるべき委員会に対して、外国の貿易障壁に関する報告書を提出する義務を負っている。報告書には、米国のモノ、サービスの輸出、米国民による直接投資及び知的財産権の保護に影響を与える「外国の貿易障壁」が取り上げられる。

 平たくいえば、「米国の貿易の邪魔をしている世界各国の国内法や制度、慣行」集だと思えばよい。400ページにも及ぶ膨大な報告書であり、2013年度は世界61か国の「貿易障壁」が挙げられている

 最初に押えておきたいことは、この61か国の中でも、「日本」と「中国」の貿易障壁については圧倒的に分量が多い。割かれているページ数はどの国も平均して58ページであり、少ない国は2ページほどしかない。

 しかし中国は41ページと際立って多く、次いで日本が16ページとなっている。つまり米国の貿易にとって「やっかいな国」は中国と日本なのだ。当然、この両国が挙げられる理由は、世界経済トップクラスの国であるからでもある。経済規模が小さい国の「貿易障壁」を一生懸命に取り除いたところで、結果的に輸出や投資ができる規模が小さければ、米国にとって意味がないからだ。

 さて「日本の貿易障壁」についてである。

 すでに外務省は、2013年度の「外国貿易障壁報告書」の日本についての項目を日本語に仮訳しウェブサイトに掲載している(注2)。
 

基本的に、ここで挙げられたおびただしい数の項目は、米国にとっては「取り除きたい」日本の国内規制や法律、慣行だ。列挙してみよう。項目だけではわかりにくい内容もあるが、上記の日本語仮訳にある程度内容が示されているのでそちらを参照されたい。

1 輸入政策
 (1) 牛肉輸入制度
 (2) コメ輸入制度
 (3) 小麦輸入制度
 (4) 豚肉輸入制度
 (5) 牛肉セーフガード
 (6) 水産品
 (7) 牛肉,かんきつ類,乳製品,加工食品への高関税
 (8) 木材及び建築資材
 (9) 皮革製品・靴
 (10) 税関問題★

2 サービス障壁
 (1) 日本郵政★
 (2) 保険★
   ア かんぽ生命
   イ 外国保険会社の現地法人化
   ウ 共済
   エ 保険契約者保護機構(PPC
   オ 保険の銀行窓口販売
 (3) 他の金融サービス
 (5) 電気通信 
   ※日本政府仮訳では(4)が抜けているので仮訳原文ママ(5)とする
   ア 固定回線相互接続
   イ 支配的事業者規制
   ウ ユニバーサルサービス
   エ モバイルターミネーション(携帯電話接続)
   オ 新しい移動体無線免許
 (6) 情報技術(IT)
   ア クラウドコンピューティング
   イ 医療IT
   ウ プライバシー
    IT及び電子商取引
   オ 海外からのオンライン・コンテンツの消費税
 (7) 司法サービス
 (8) 教育サービス

3 知的財産保護★

4 政府調達★
 (1) 建設,建築及び土木工事
 (2) 情報通信(IT)の調達

5 投資障壁★

6 反競争的慣行★
 (1) 独占禁止の遵守及び抑止の向上
 (2) 公正取引委員会の手続的公正と透明性の向上
 (3) 談合撲滅のための手段拡充

7 その他分野及び分野横断事項の障壁
 (1) 透明性★
   ア 諮問機関
   イ パブリックコメント
   ウ 規制と規制執行の透明性
 (2) 商法 
 (3) 自動車関連★
 (4) 医療機器及び医薬品
 (5) 栄養補助食品
 (6) 化粧品及び医薬部外品
 (7) 食品及び栄養機能食品の成分開示要求
 (8) 航空宇宙
 (9) ビジネス航空
 (10) 民間航空
 (11) 運輸及び港湾


繰り返しいうが、これらはすべて、「米国が、米国にとって障壁になると指摘する日本の法律・制度・慣行」だ。ここに挙げられた項目は、これまで何度も繰り返し、「障壁」とされ取り除くよう圧力をかけられてきた。ここまでの数を挙げられれば、まるで「お前の国は保護主義で規制だらけ。ありとあらゆるものが、米国の利益にまったく寄与していない」といわれているようなものだ。
そもそも、なぜ米国は他国の社会・経済・文化的な背景からつくられた法律や制度を、「障壁」などという権利があるのか、根本的に疑問だ。一つ一つの項目の文面を読んでいくと、なぜここまで米国に「問題だ」といわれなければならないのか、怒りがわいてくる。それほどにまで、この報告書は米国からの一方通告なのである。もちろん、人に指摘をされて気づく、ということは一般社会でもあるので、もし私たちが主権者として総合的に検討した上で「こうした法や規制はやはりない方がいい」と思えば、変更することはあり得るだろう。しかし、米国による、自由貿易のさらなる推進のための、しかも米国の利益を守るためにこれら規制緩和が行なわれるのだとしたら、それは主権の侵害であり、日本政府自らが国内的な議論も経ずにその要求を受け入れるのであれば、主権の放棄といわざるを得ない。

重大なことは、TPP事前協議で挙げられた項目はほぼすべてこの「貿易障壁報告書」に載っているということだ。事前協議で挙げられた9項目には★印をつけたので参照されたい。事前協議でまだ挙げられていない項目はそれ以外のすべてだ。当然、米国は今後も次々とそれら項目の中から非関税措置などの二国間協議にて「この障壁を取り除け」と要求してくる可能性は高く、とても9項目で済むどころの話ではないのは、誰の目から見ても明らかだ。

おそらく日本政府は、「仮に米国が次々と非関税措置の二国間交渉を持ちかけてきても、日本政府がすべてを丸のみするわけではない」と反論するだろう。しかし、すでに起こっている「事実」として、TPP事前協議において、何としてでもTPP交渉に参加したいと焦る日本政府は、米国の要求をいくつも「丸のみ」した。「次からは大丈夫」という言葉は、まったく信用できない。

さらに最も重要なのは、今後、TPP交渉と並行してこの二国間事前協議が進むということだ。TPP事前協議では、「二国間協議はTPP交渉が終わるまでに済ませる」とされている。現段階で、米国はTPP交渉の妥結を、日本の参加の有無にかかわらず遅くとも2013年中ということを目指している。つまり、そのゴールに合わせて、今後ここで挙げたような領域での日本との非関税措置交渉を急ピッチで進めていく危険性があるということだ。

事前協議で設定された、この「TPP交渉と二国間協議」の二本立ての交渉ラインというのは、まさに米国による「罠」であると私は考えている。言い換えれば、日本は「TPP本交渉とセットで、米国が長年指摘してきた『貿易障壁』を片づけないとダメだ」と確約させられたのだ。

 TPP交渉の実態は、「秘密」と「嘘」に塗り固められている。しかし例えば今回取り上げたように「貿易障壁報告書」などすでに出されている情報をもとに、TPPは不正・不平等であり、主権を脅かす危機そのものだということが、「誰にとっても明らかな事実」として伝えることは可能だ。私たちにできることは、参加表明撤回と、TPPそのものを葬り去るために、さらに多くの秘密と嘘を暴露し続けることだ。
 
 
 

 

2013年4月17日水曜日

TPP日米事前協議を検証する 【続報】―日米の認識のギャップには「関与しない」という日本政府


 2013415日、本ブログにて、TPP事前協議の合意として、日本政府と米国政府がそれぞれリリースした文書内容について掲載した(注1)。その主旨は、双方の政府が「合意をした」とされる内容の発表が、あまりにもかけ離れているという点だ。ちょっとした誤解や解釈の違いではすまされない、大きな認識のギャップがそこにはあった。

 記事掲載後にも、私には疑問が残った。日本政府が出した「日米協議の合意の概要」(注2)にである。内閣官房のウェブサイトには、この「概要」が掲載されている。しかしそれは「概要」であって、では詳細な中身が書かれた「本文」はどこにあるのか?という疑問である。

 いくつかの手段で調べた結果、驚くべき事実がわかった。

 内閣官房によれば、「日本政府が公式だとする『合意文書』そのものは、①「日米間の協議結果の確認に関する往復書簡(仮訳)」(注3)(在米日本大使の佐々江氏と、USTRのマランティス代表代行の間で取り交わされた書簡1通ずつである)と、②「自動車貿易TOR(仮訳)」(注4)というのだ。いずれも内閣官房のウェブサイトに掲載されている文書ではある。

 私ははじめ、何のことだかさっぱりわからなかった。

 そのような書簡が、重大なTPP事前協議の内容が書かれた公式文書であるとされているとは夢にも思っていなかった。しかし内閣官房によれば、まず佐々江氏とマランティス氏の間で①の書簡がやりとりされた後に、日本は「合意内容の概要」という文書を、米国はUSTRのリリースを出した、というのである。
 

 しかし、さらに疑問は深まる。

 日米両国政府の「合意」事項がその書簡であったとしても、私が先のブログで指摘した、その後の両政府の発表内容に大きなギャップがあるという事実は消えない。同じことを合意し、共通の文書もあるというのなら、後に日本政府はUSTRが出したリリースを見て、驚いたはずではないのか。

 この点について内閣官房の担当者は、「結局はこの二つが合意文書であり、USTRが何を言ってるかは日本政府は関知しない」との見解を示した。

 それを聞いてさらに私は仰天した。

 合意を経た後の相手国のリリースについて、それが自国の発表内容と大きく異なっていたとしても「関知しない」というのだ。こんなことがあるだろうか。個人レベルで考えたとしても、「こういう約束をした」と両者が合意した後に、相手がそれと矛盾した内容をもって「私はこの人とこういう約束をした」と対外的に語っていることに気づけば、「いやいや、そういう内容の約束ではなかったでしょう」というはずであるし、いうべきである。ましてやこれは個人レベルの約束などではなく、私たちの暮らしや社会、国家の主権そのものの変容・変質を迫る危険のあるTPPの事前交渉の内容である。「関与しない」どころか、逆に、相手国がちゃんと約束通りの内容を国内的にも発表しているか、鋭く目を光らせてチェックし、少しでも間違ったことを述べているとわかれば、ただちにそのギャップを問題にし、訂正を求めたり再度の協議の場を求めなければならない。しかし日本政府は、あくまで合意文書は先の2つであり、その後のリリースは関知しないと、その責任を放棄しているのだ。

 さてこのような経緯を受けて、私自身の書いた記事について、もし日本政府がいう「合意の公式文書」が上記2点だとすれば、事実関係として若干の訂正が必要になるかもしれない。私は当初、USTRのリリースおよび日本政府の「概要」こそが公式の合意文書であると理解した。したがって、それらを比較し、日本政府が意図的に、佐々江・マランティス書簡から無理な引用をしつぎはぎをしたと批判したからだ。しかし、何が双方にとっての正式な合意文書か、という点については、日本政府の見解をただ信用するわけにはいかない。むしろ真実は何なのか、改めて日米双方に確認をしていく必要がある。

 それ以外の部分については、公式な合意文書がどうあれ、問題の本質はまったく変わっていない。日米双方の見解には大きな隔たりがあり、それ以上に、「相手国の出したリリース内容については関知しない」という日本政府の無責任ぶりが露呈するという結果となった。問題は、ここで生じている両国の認識のギャップが、ただほおっておけばいいという類のものではないということだ。USTRの文面からは、明らかに、米国は日本に数々の要求をしているし、今後も引き続きしてくることになることが伝えられている。「それには関知しない」と今いっている日本政府は、やがて現実的に次々と要求がなされた際に、「我々はそんなことには関知しない」とでもいって済ませるつもりなのだろうか? 残念ながらそれですまされるばずはない。つまり、日本政府がいま述べている見解というのは、国民に対してあまりにも場当たり的な逃げ口上であり、根拠のない説明である。

 もう1点、事前協議をめぐって重大な点がある。日本政府の「事前協議の概要」には、次のようなくだりがある。非関税措置への取り組みに関して、「日米間でTPP交渉と並行して非関税措置に取り組むことを決定」とされている。

 これを見て、「事前協議といっているのに、なぜTPP交渉と並行するのか?そもそもこの合意というのは『事前』なのだからTPP交渉の『前』に終わっているはずなのではないのか?」と思った方は、ごく常識的な感覚を持っていると思う。

 つまり、なぜ、日米の非関税措置についての協議は、TPP交渉という多国間での枠組みと並行しながら延々と続くことになるのか?という問題である。

 ここには米国の意図と、実に巧妙なやり方がある。

 もしTPP交渉自体がもめたりしてうまくまとまらなかった場合、米国にとっては日本から得るものはさほどないということになりかねない。だからこそ、多国間協議であるTPP交渉とはまったく別の二国間協議という枠組みにおいて、「TPP交渉が始まってからも、米国は日本に非関税措置の取り組みを求める」といっているのだ。つまり米国は、TPP交渉で日本から実利を取れなければ、二国間の協議で取ればいいと考え、保険をかけているようなものだ。この二重の縛りは、日本にとっては致命的である。仮にTPP交渉で日本がうまく立ち回って、米国の要求を丸のみしなかったとしても、米国は「それならば二国間協議でやる」と切り替え、日本に同じ内容を迫ってくるだけだ。二国間交渉において日本が上手にかわしていくという確率は、残念ながら大変に低いといわざるを得ない。

 まったく絶望的な気分にもなるが、しかし今回の事前協議の合意発表をめぐっては、日本がまったくといっていいほど勝ち得るものがなかったという点が明らかになった。逆に、米国にあらゆる面で譲歩をしまくり、さらには日米で大きく異なる発表内容についても「何も異議は申しません」という立場をとっていることも明らかになった。すでにこれは一国の政府の体をなしていないのだが、明白なのは、「TPPに入っても日本には何もメリットはない」ということだ。事前協議でこれだけの内容を唯々諾々と米国に渡しておきながら、「本交渉では交渉力を発揮して聖域を守ってルールメイキングをします」といったところで、その言葉は信頼に足るはずがなく、空疎な妄想といっても言い過ぎではない。

 このような事実を一つ一つ提示し、多くの人の目に、耳に、伝えながら、参加表明撤回を求める声をさらに大きくしていかなければならない。
 
 

 

2013年4月15日月曜日

嘘とごまかしの政府発表―TPP日米事前協議内容を検証する


 2013412日、日米両政府はTPPに関する「事前協議」に関する合意文書をそれぞれ発表した。315日の安倍首相のTPP交渉参加表明以降、加速化されてきたといわれるこの事前協議だが、何としてでもTPPに入りたい日本と、その日本の足元をみて「高い入場料を払わせる」と意気込む米国という構図はすでにはっきりとしていた。

 私自身は、事前合意の発表をするという予告を聞いた際、「まさか本当のことを発表するわけがない。なぜなら、もしすべてを発表してしまったら日本がとことん身ぐるみをはがされ、TPP交渉に参加する前に丸裸の状態になることが明るみにでるから」と考えていた。

 そして発表がなされた後、日本政府の発表内容、米国USTRのリリース(英文原文)、そして各種報道を読み比較をしてみたところ、驚くべき事実がわかった。日本政府の合意公開資料は、USTRがリリースしたプレスを都合よくつまみ食いしたものなのだ。しかも、ねつ造ともいえる内容が含まれている。


写真① USTRのプレスリリース本文
 まずUSTRが発表したプレスリリースである。本文(※注1、写真①)と非関税措置に関する付属文書(※注2、写真②)からなる(これらの翻訳は近々公開しますので少しお待ちください)。

 

 
 
 
 
 
 
 
写真② USTRのプレスリリース付属文書(非関税措置)
 



 
 

 
 
 
 
 そして以下が日本政府が発表し、内閣官房のホームページにも掲載されている「日米合意の概要」である。新聞各紙にもこの内容が引用される形で報道されている(注3)。

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日米協議の 合意の概要

平成25412
内閣官房TPP政府対策本部

1 日本が他の交渉参加国とともに、「TPPの輪郭」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことを確認するともに、日米両国が経済成長促進、二国間貿易拡大、及び法の支配を更に強化するため、共に取り組んでいくこととなった。

2.この目的のため、日米間でTPP交渉と並行して非関税措置に取り組むことを決定。
対象分野:保険、透明性/貿易円滑化、投資、規格・基準、衛生植物検疫措置等

3.また米国が長期にわたり懸念を継続して表明してきた自動車分野の貿易に関し、
(1)TPP交渉と並行して自動車貿易に関する交渉を行なうことを決定。対象事項:透明性、流通、基準、環境対応車/新技術搭載車、財政上のインセンティブ等
(2)TPPの市場アクセス交渉を行なう中で、米国の自動車関税がTPP交渉における最も長い段階的な引き下げ期間によって撤廃され、かつ、最大限に後ろ倒しされること、及び、この扱いは米韓FTAにおける米国の自動車関税の取り扱いを実質的に上回るものとなることを確認。

4.日本には一定の農産物、米国には一定の工業製品といった二国間貿易上のセンシティビティが両国にあることを認識しつつ、TPPにおけるルール作り及び市場アクセス交渉において緊密に共に取り組むことで一致

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1.合意文書は米国からの一方的な「通達」

 上記2つの政府が出した文書を読み比べて、まず気づくのはその「トーン」の違いである。USTR側が出した文書は、明らかに米国から日本への「要求」という基調で書かれており、日本がそれにどこまで応じたか、ということに文書の主旨は尽きる。もちろん各政府は自らのプレゼンスを最大に行なうため若干のトーンの違いはあるだろうが、今回の2つの文書は、そのような「微妙な立場の違い」という説明ではすまされないほど強者と弱者の違いは明瞭だ。対等平等な合意文書というには程遠い、いわば「日本が宿題を米国に出し、それを添削してもらった」ようなものだ。

 一方日本政府の発表文書には、もちろんそのようなトーンは消されている。2月の日米共同声明でも同じだったが、あくまで「対等な日米」を演出しようとする意図が読みとれる。


2.項目が十分に反映されていない

 日米での事前協議の内容について、日本政府の発表した「概要」は、明らかに、意図的に国民からの批判を避け都合よく項目が取捨選択されている。

 USTR文書では、具体的な項目として「自動車」「保険」が立てられているのだが、日本政府の概要では、「自動車」の項目はあるが「保険」はない。USTR文書では約9行にもわたり記述されているにもかかわらず、その項目は削除され、保険については「その他の非関税障壁」という中の一つとしてふれられているだけである。

 また例えばさまざまな項目内で、USTR原文ではかなり詳細に記述されているにもかかわらず、意図的な省略が目につく。

 
3.意図的な項目の削除

 USTRがあげた日本に求める非関税措置の項目リストは以下のものだ。
 ・保険
 ・透明性
 ・投資
 ・知的財産権
 ・規格・基準
 ・政府調達
 ・競争政策
 ・急送便
 ・SPS(植物検疫)

 しかし日本政府の「概要」では、「知的財産権」「政府調達」「急送便」が抜け落ちている。
 知的財産権は、TPP交渉でももっとも妥結困難なヘビー・イシューであり、薬価や商標権、著作権など私たちの暮らしに大きくかかわる分野である。
 「政府調達」については、TPPに入れば例えば公共事業などの入札に外国企業も参入できることになり、これも地域経済や中小企業にとって大きな影響がある。さらに「急送便」は日本郵政の国際急送便事業と対等な競争条件を外国企業が確保できることが求められている。
 そもそも、非関税措置問題というのは、農産品などの関税品目とは異なり、幅広い分野・品目、サービス、規制が対象となる。TPPの怖さというのはむしろこの非関税措置がどれだけ「開放」させられるのか、という問題に尽きるといってもいい。私たちも事前協議において、牛肉や自動車、保険といったあらかじめ危険視されてきた品目以上に、どれだけ多くの非関税障壁が米国から「問題」とされるのか、強い関心をもって注視してきた。

 それだけ重要な内容であるのだから、1項目でも落とすことは、国民に対する嘘であり許されることではない。にもかかわらず、日本政府は先の3つの項目を意図的に削除したとしか考えられない。おそらくさらなる事前協議で妥協しなければいけない内容を少しでも少なく見積もりたかったのだろうが、USTRのリリースと比べれば一目瞭然である。姑息な手段というしかない。

 そしてUSTR文書の最後には、このような1行がある。

「両国の合意があれば、これら問題以外にも付け加えることができる」。

 もちろん、日米が対等に「合意」などできるわけがないので、これは米国側からの「脅し」である。「これだけで済むとは思うなよ」と、最後に念押しまでされているのだ。そして、当たり前だが日本政府発表では、このような「可能性」は一切ふれられていない。

 

4.「日本の農産物への配慮」など合意文書には一言もない

 最大の問題は、日本政府発表の「4.日本には一定の農産物、米国には一定の工業製品といった二国間貿易上のセンシティビティが両国にあることを認識しつつ、TPPにおけるルール作り及び市場アクセス交渉において緊密に共に取り組むことで一致」とある点だ。私はUSTR原文とこの概要をつきあわせ、大変に驚いた。原文には、このような内容が書かれた部分は1行たりとも存在しないからだ。

 むしろ、原文では、「高い基準を満たすための日本の準備」という項目のもと、「二国間協議を通じて、米国は、①日本がTPP交渉に参加するならば、現在の11ヶ国によって交渉されている高水準の協定を実現すべく準備すること、②これに対し日本は2月22日の共同声明においても、すべての物品を交渉の対象にすること、他の交渉参加国と共に、高水準で包括的な協定を実現することを日本は明確にした」と書かれている。要するに「TPP交渉はすべての物品が対象である」と断言されているのである。

 これらの下りもすべて、日本政府の概要からは丸ごと削除されており、その代わりに、「日本の農産物などのセンシティビティがあることを認識しつつ」などという真逆なことが書かれているのである。

 結論からいえば、こうした行為は文書の「ねつ造」という。

 しかしいろいろと周辺を調べると、こういう仕掛けであることがわかった。

 USTRのプレス文書の中に、補足資料として、駐米日本国大使・佐々江賢一郎氏とUSTRのマランティス代表代行の間で送り交わされた書簡が1通ずつ存在する(注4)。マランティスから佐々江宛てに返された書簡の最後のパラグラフに、このように記述されている。

「日本と米国は,日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに二国間貿易上のセンシティビティが存在することを認識しつつ、TPPにおけるルール作り及び市場アクセス交渉において共に緊密に取り組んでいくことを楽しみにしています」。

  つまり、マランティスからのこの言葉を、「日米事前協議内容」に無理やりにつぎはぎし、日本国内で議論となっている「聖域」問題をごまかそうとしたのである。

  一般通念上、「合意文書」として正式にプレスリリースされた本文を適切に訳さず、付属の文書から都合よい部分だけを引用し、それを本文の「概要」とすることは、当たり前だが「改ざん」「ねつ造」である。一つ一つの文言はあっていたとしても、文脈は壊され、意図も不明瞭になる。そもそもマランティスの書いた最後の文面は、限りなく「リップサービス」に近いニュアンスであるし、仮にセンシティビティが存在することがわかっていても、本文において「すべてを関税ゼロにする」と明記されているのである。

 この部分をわざと削除し、代わりにマランティス発言をつぎはぎした日本政府の罪は重い。まさに急ごしらえの条件交渉を譲歩しまくった結果、あまりに多くの「敗退」の連続であり、何とかそのボロを隠ぺいすべくあわてて文書をつぎはぎしたに違いない。 

 さすがにこのことはマスメディアも問題視しており、413日付の朝日新聞でも、「米国の本音は米政府が12日に発表した合意文書にあらわれている。日本政府が発表した合意文書と大きく違う内容なのだ。自動車や保険などで日本が譲歩したことはくわしく書かれている。だが、日本の農産物に配慮することについては一切ふれられていない」と記載されている。さらに同紙では、マランティスやUSTR側の意向として「すべての品目で関税ゼロをめざす」というコメントも合わせて掲載しているのだ。

  まさにこれが、米国の本音であり、事前協議の本質である。

 それを知っておきながら、国民を欺こうとする、ここまで愚かな政府を持ったことに、怒りを通り越してあきれ果てるが、しかし、徹底的にこの「嘘とまやかし」を糾弾していかなければならない。

 私は、政府に対して、ここに記述した内容について公開質問状などを提出したいと思っている。多くの方々の参加を求めるようなしかけも工夫したいと思うので、その際にはぜひご協力をお願いしたいと思います。
 
★注2:

2013年3月25日月曜日

日本政府のウソと参加表明を許さない!―TPP交渉会合報告①


★嘘に塗り固められた安倍首相の「TPP参加表明」

  2013年3月15日、安倍首相はTPP交渉への参加表明を正式に発表した。

 その数日前から、マスメディアは「15日表明」という露払い報道の一色だった。危機感の高まる中、PARCも参画する「STOP TPP!!官邸前アクション」は、同日昼、議員会館前での「緊急座り込み行動」を提起、午後六時の安倍首相の記者会見は、議員会館で仲間や参加者とともにテレビで見ることになった。

 ここまで嘘で塗り固められ、すでに論破されてきたTPPについての誤った認識を根拠にし、国民を馬鹿にした会見は、歴史に残るひどいものであった。「政府はTPP参加後の経済効果の試算を出して国民に付す」といっておきながら、参加表明をした後に、その試算が発表されるという本末転倒ぶりも特記しておきたい。私が得たリーク情報によると、この日安倍首相は六時四五分から財界の会議にて挨拶をしなければならず、それに間に合うように会見の時間が設定され、結果的に試算は後でとなったらしい。したがって会見はもともと最大30分だけと限定され、記者の質問も途中で遮られた。国の未来を揺るがす重要な決定であるにもかかわらず、である。


2013年3月15日、議員会館前での座り込み
 会見後、私たちは緊急記者会見を行なった。どのメンバーも、そして会場で一緒に会見を見た参加者も、怒りに震えていた。TPPそのものについて、交渉について、あまりに無知であり不見識である首相は、いったい誰を向いて参加表明をしたのか。首相が何度も強調した「国益」「国柄」「美しい日本」を壊し、奪うのはまさに新自由主義に基づく自由貿易の推進であり、TPPそのものに他ならない。その現実に、私たちは最大の怒りを持って抗議声明文を読み上げた(註1)。

 

★シンガポールTPP交渉会合へ
安倍首相の「TPP参加表明」直後の記者会見
 
 首相の言葉が空疎であるのは、もう一つ大きな根拠がある。

 日米首脳会談後の二月末から三月初旬にかけて、東京新聞などのメディアでは「遅れてTPP交渉に参加したカナダやメキシコは、不利な条件をのまされて入った」という報道が続いた。つまり、交渉に参加するまでは条文テキストも見ることはできず、すでに決まった項目(分野)については議論を蒸し返すことはできない、文言の一つも変えることは許されない、という内容だ。この報道によって、多くの人たちはTPP参加への懸念を強くした。

 もちろんこのこと自体は、日本政府も以前から「掌握」していたし、TPP反対の運動や研究者、議員らは昨年の早い段階から指摘をし続けてきた事実である。それを知りながら、しかし「日本はルールメイキングに参加できる」という安倍首相は、まさにピエロとしかいいようがない。

 米国にとって、あるいは他の交渉国にとって当たりまえの交渉のルール・条件について、日本国内ではまったく別の説明がされている。このことが他国にはどう映るのか。そして日本のTPP交渉参加をどう受け止めているのか。


 こうした問題意識から、私は3月4日から13日までシンガポールで開催された第16回TPP交渉会合に参加した。「参加」といっても当然日本は参加国ではないので、かねてから交流の深い米国のNGOパブリック・シチズンのメンバーとして登録をしてもらい、ステークホルダー(利害関係者)としての参加だ。他に日本人は参加しておらずメディアではNHKの在シンガポール支局駐在員だけだった。交渉会合に参加するのは参加一一カ国の交渉担当官(約300名)と、ステークホルダーが約150(200~300名)である。

 
★米国の大企業が支配する交渉会議

 さて交渉の現場では、どのような議論が行なわれているのか。ご存じのとおり、TPP交渉は完全な秘密裡に行なわれる。他の貿易協定交渉と比べてもその密室性は際立ち、加えて特に米国の大企業の関与と支配のもとで進められている。例えば、米国の国会議員ですら条文テキストを見ることができないのだが、米国には貿易協定に関する「アドバイザー制度」なるものがあり、アドバイザーとされた約600の米国大企業・団体はテキストを自由に見ることができる(この制度の詳細については改めて本ブログで発信します)。

 そして実際に私もこうした企業有利の貿易交渉の実態をこの目で見ることができた。

 まず、ステークホルダーとは誰なのか。約150のステークホルダーのうち、8割は企業あるいは業界団体、企業連合で占められ、多くは米国企業だ。例えば穀物メジャーのカーギル、フェデックス、VISA、ナイキ、グーグル、フォード、GEなど私たちが「よく知った」企業がこぞって参加する。また「TPPを推進する米国企業連合」(米国内の大企業約100社が加盟)や、米国商工会議所、米国貿易緊急委員会(ECAT)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)などの業界団体・企業連合も名を連ねた。登録は一団体としてだが、この背後にどれだけの企業の思惑があるのか、想像してみてほしい。

 これらの企業や団体は、会期中に一日だけある「ステークホルダー会議」の際に、プレゼンテーションやブース出展などをして、各国交渉担当官と自由に会話を交わす。会話とはもちろん「商談」である。「TPPが実現すればこれだけあなたの国に投資をします」「安くて品質のよい商品を売ります」などというのだ。もちろんこの日だけでなく、会期中、企業と各国交渉官が自由に約束して会うことも可能だ。

 実はTPP交渉の特異性はこのステークホルダー会議に表れている。WTO交渉のときでさえ、ここまであからさまに企業・企業連合が大挙してステークホルダーとして登録され、交渉会議と並行して「企業のプレゼン(=営業や商談)」をするなどということはなかった。交渉もまとまっていない、そのプロセスもまったく秘密裡にされているにもかかわらず、大企業と各国政府の間で密接な関係がつくられているのだとしたら、それはまさに、「大企業の、しかも米国の大企業のためのTPP」ということの証明だ。

 3月8日に開催されたレセプションは、なんと在シンガポール米国商工会議所の主催だった。なぜ、議長国でもない米国の、しかも商工会議所が大々的にこのような場を開くのか。招待状には「すべての交渉国の主要な産業ステークホルダーにお越しいただきたい。ここはTPPによる経済発展のためのネットワークと関係づくりの素晴らしい場となるでしょう」などと書かれている。冒頭のスピーチで同団体の代表は、「TPPで自由貿易をさらに促進すれば、各国の経済発展は必ず約束されている」と得意満面に語った。
 

★間接的にTPPに関与する日本の大企業

 もう一つ、大企業が促進するTPP交渉の事例をあげよう。

 交渉会合開始日の三月四日、「米国研究製薬工業協会: PhRMA」が、各国交渉担当官あてに、「知的所有権のさらなる強い保護を求める要望書」をリリースした。米国の大手製薬会社にとっては、知的所有権の確保は利潤追求のためもっとも重要な課題だ。要望書には「アルツハイマーやパーキンソン病、がんの治療薬開発にとって知財保護は必要」「研究のさらなる発展のためには知財の保護が不可欠」などと書かれている。また「知財は雇用の拡大、世界規模の経済発展、医薬品アクセスのために絶対に必要」とも書かれてあるが、実はその因果関係は意味不明である。なぜ米国を中心とする医薬品会社の知的所有権が強く守られることが、医薬品アクセスに貢献するのか。実際にはその逆である。世界中のエイズ患者が安価なジェネリック薬に頼って命をつないでいるのか、考えてみればすぐにわかることだ。

 さらにこの文書では、「韓米FTAで米国企業の市場が広がった」とまで書いてある。米国研究製薬工業協会の加盟企業は、ファイザーやジョンソン&ジョンソン、グラクソスミスクライン、ブリストル・マイヤーなどの米国多国籍企業だ。しかし日本の私たちがぜひ知らなければいけないのは、加盟企業にエーザイ株式会社や第一三共薬品株式会社などの日本企業も加わっているということだ(在米支社として加盟しているが、加盟企業リストのウェブサイトに飛ぶと多くが日本本社の英語ページへと飛ぶ)。※註2

 つまり、すでに日本企業は間接的にではあるが、米国企業・業界団体の一部として、TPP交渉の中で自らの利益を要求しているのだ。先述のとおり、大手医薬品企業の何社かは「アドバイザー」として交渉中のテキストを見ているだろう。それが米国研究製薬工業協会のような業界団体内でも共有され、日本企業も知ることになったとしても不自然ではない。

 TPPのような秘密裡の交渉においては、テキストを入手し、見ることは「勝者」の証だ。内容を知らずに交渉を自らの有利に運ぶことはできない。大きな反対の声があるにもかかわらず、日本の財界がTPP参加を一心不乱に進めようとする根拠はここにあるのではないだろうか。

 もう一つの例を挙げよう。今回の会議参加企業に米国の「クロップライフ株式会社」という多国籍農 薬企業がある。同社が世界に有するネットワークには日本の「農薬工業会」が加盟している。さらに農薬工業会のメンバーを見ると、日本モンサント、住友化学、ダウ・ケミカル日本株式会社などの名が並ぶ。経団連会長の米倉氏が住友化学の会長でもあり、住友化学は米国モンサント社と業務提携をしている事実は多くの人が知るところである。つまり、TPPという視点で日本と米国の大企業をつなぐ糸をたぐっていけば、これら企業群が次々と現れてくるのだ。この日本の大企業と米国企業との「密接な関係」についてはさらに調査を進める必要がある。

 
★重要情報リークと日本の参加問題

 日本のTPP交渉参加に関して、各国はどのように受け止めているのだろうか。すでに日本は参加表明してしまったが、その前に私が現地でつかんだ情報に基づけば、以下のようにまとめられる。日本での各報道とも符合する意見である。

「日本の参加は歓迎するが、交渉に遅滞をもたらさないでほしい。また『例外なき関税撤廃』というのがTPPの前提である」

「カナダやメキシコなど後から参加した国は当然、不利益な条件をのむ必要がある」

 そして、会合が終盤に近づいた3月10日、私たちは他の国際NGOメンバーとともに、米国の交渉担当官による「日本の参加問題」に関する大変重要な情報を、信頼できるルートからリークした。

 その担当官は、正式な交渉の場で他国に対し、「日本はもうすぐ参加表明をする。その際には、メキシコやカナダ同様、不利益な条件をのむことも合意している。もちろん決まった交渉を蒸し返すことも、文言一つ変えることも認められない。各国は七月までに日本との二国間協議を終わらせておいてほしい。日本の参加は九月の米国での交渉会合である」と述べたという。下記(太字)がその内容だ。
 
 

シンガポールでのTPP交渉会合の中で、米国の貿易担当官が、日本の交渉参加が認められるための手続きについて、他国の交渉官に対して次のように述べた。「日本は、カナダとメキシコがTPPに参加するために強いられた、非礼であり、かつ不公正な条件と同内容を合意している。つまり、事前に交渉テキストを見ることもできなければ、すでに確定した項目について、いかなる修正や文言の変更も認められない。新たな提案もできない」。さらに米国の担当官は、日本の参加表明がなされた後、参加各国は日本との二国間協議を7月までに完了させるように、との指示も行なった。つまり、日本は7月の会合には参加できず、9月の交渉会合までTPP交渉のテーブルにつくことはできないということである。9月の交渉会合は、TPP交渉国の首脳がAPEC会議にて集まり、交渉を「完了した」とサインするであろうといわれている10月の1か月前だ。しかも9月の会合は米国で持たれ、議長国は米国となるため、異論や再交渉の要求があっても、押えつけることが可能だ、と交渉担当官はいった。

 
 日本の参加表明以前に、つまり私たち国民に何の表明もなされていないこの時期に、TPP交渉の現場ではこのような協議が実際に進んでいるのである。驚きであり、何よりも屈辱的である。日本の国民はもちろん、日本の交渉官も首相もあずかり知らぬところで、日本の交渉参加についてここまで具体的な話が、米国のイニシアティブによって詰められているのだ。
 

 さて、冒頭の安倍首相のTPP交渉参加表明に戻ろう。

 首相は、「日本はルールメイキングに参加できる」と公言した。しかしそれはほぼ不可能である。少なくとも、前述のように米国や各国の交渉官はそのように認識していない。シンガポール会合の最終日、米国USTRは会合総括をリリースした。これによると、「交渉は(妥結に向け)加速し、関税、通信、規制、開発等の交渉はほぼ固まり、残るは知的財産権、競争、環境等の難問のみという(註3)。つまり大方の交渉はほぼ終盤になっているということだ。ここでもまた「今から参加して国益を守り交渉をうまく進める」という日本政府のウソが露呈している。

 さらに、日本の参加表明を受け、米国では次々と「歓迎」と「期待」と「要請」の声明が出されている。

「参加表明を歓迎するが、日本が米国からの自動車輸出や保険部門に関して十分に確約していないことを依然懸念する。交渉参加を支持するにはこれらの問題解決が不可欠」(キャンプ米下院歳入委員長)。【註4】

「日本のTPP参加は米国経済の利益になるので歓迎。しかし正式な交渉参加には政治的意志(=事前協議で米国の要求を受け入れること)が決定的に重要」(米国連邦議会上院金融委員会のマックス・ボーカス氏ら)【註5】

「日本の参加を歓迎するが、TPPはすべての産業分野の物品を含まなければならない」(=例外は認めない)」(カーギル社の声明)【註6】

 日本の参加を「歓迎」するこれら米国政府関係者や企業にとって、今回の参加表明は「単なる表明」に過ぎない。だからそれを機に、昨年から秘密裡に行なってきた日本と米国の「二国間協議」をさらに加速させるぞ、というメッセージをこれら関係者は強烈に発しているのだ。わかりやすくいえば、「参加表明しただけでTPP交渉に参加できると思ったら大間違い。本気で入りたいなら、『事前協議』にてさらに米国のいうことを呑みなさい」ということだ。具体的には、保険、自動車分野などで米国はこれまで以上の強い要請をしてくるはずである。

 日本政府は、こうした「不都合な真実」についてどう弁明するつもりなのか。国内向けには「大丈夫。しっかり交渉して日本の国益を守る」といっている。しかし交渉のテーブルにつく以前に、多くの条件を米国に差し出さなければ「入れてやらない」と、米国はいう。この食い違いは致命的であり、単なる解釈の違いという説明ではすまされない。

 私たちはこのようにすさまじく不平等であり、侮辱的であるTPP交渉参加を、何としてでも阻む必要がある。同時に、参加表明にいたるまでの日本政府のさまざまな非民主的な手続き(特に、公約を破った自民党)について、その実態を暴露し参院選に臨む必要もある。さらに、TPPに限らず、米国の政府と大企業に主権を売り渡そうと迫る新自由主義の流れそのものを食い止めていかなければいけない。反対運動は参加表明後にさらに盛り上がっている。みな、徹底的に怒っているのだ。ぜひ多くの方々とともにTPP反対運動を広げていきたい。


【註】

1▼抗議声明文:http://tpp.jimdo.com/
2▼米国研究製薬工業協会の加盟企業リスト:http://www.phrma.org/about/member-companies
3▼米国通商代表部(USTR)のTPP交渉終了後のリリース:http://www.ustr.gov/about-us/press-office/press-releases/2013/march/tpp-negotiations-higher-gear
4▼:http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTJE92E01620130315
5▼:http://www.finance.senate.gov/newsroom/chairman/release/?id=f8d61409-d0f4-4b7c-8c7c-a5dfedf83a1c
6▼:http://www.cargill.com/news/company-statements/cargill-welcomes-japan-into-tpp-negotiations/index.jsp

 

2013年3月21日木曜日

嘘に塗り固められたTPP報道―交渉参加を米国・日本のマスメディアはどう伝えているのか






「交渉参加のために、日本にはまだ多くの『仕事』がある」。

 安倍首相がTPP交渉参加を正式に表明したのは2013315日。その直後の316日(日本時間)、米国のロイター通信はこのような見出しでニュースを配信した(★1)。


3月16日に配信されたロイター記事
 その本文はいきなり衝撃的だ。

「米国は、米国が主導するTPPへの日本の参加表明を慎重ながらも歓迎する。日本は長年にわたる米国産品に対する障壁について取り組む姿勢を示さなければならない」(傍線は筆者)。

 続く内容の要旨はこうだ。

「世界第3位の経済大国である日本の参加は、米国の輸出産業に明るい展望をもたらす。しかし日本が自動車、保険、農産物の関税に関して、米国の『関心事』にきちんと答えない限り交渉は成立しない恐れがある。米通商代表部(USTR)のマランティス次席代表によると米国はすでに一年以上も自動車、保険、牛肉などの分野で日本との『事前協議』を進めてきたが、日本のやるべき『課題』はまだ残っている。(正式な参加表明がされた後の)今後は事前協議をさらに進めていく、と語る」

 さらに紙面では、米国連邦議会上院金融委員会のマックス・ボーカス氏らの発言を紹介。日本の参加は「米国の利益になる」ので歓迎だが、同時に「正式な交渉参加には政治的意志(=事前協議で米国の要求を受け入れること)が決定的に重要」という。キャンプ米下院歳入委員長も、「日本が米国からの自動車輸出や保険部門に関して十分に確約していないことを依然懸念する。交渉参加を支持するにはこれらの問題解決が不可欠」と発言しており、これも紙面で紹介されている。 

 もちろん、米国では日本の交渉参加に難色を示す自動車業界もあり、それらの反対意見も紹介されてはいるが、むしろこれは日本への強烈なプレッシャーとして「利用」されているに過ぎない。

 要するに、「安倍首相の参加表明などは『単なる表明』。これで入れると思ったら大間違い。本気で入りたいなら『事前協議』にて米国のいうことを呑みなさい」というのがワシントンからの強烈なメッセージなのだ。平たくいえば、TPPという「ぼったくりバー」に入る前に、入口でまずはとことんカツアゲされるということだ。こんな理不尽なことがあるだろうか。

 さて、安倍首相の記者会見を思い出してみよう。

「日本の国益を守る」「関税問題では聖域を守る」と繰り返し、挙句の果てには「私を信じてほしい」と情にまで訴えた。しかし、米国の報道はその熱意とは真逆に、冷淡に「入りたいならまず誠意を見せろ」といっているのだ。また日本政府は一貫して米国との事前協議を否定してきたが、あっさりと「牛肉、保険、自動車について1年以上も事前協議を続けてきた」と書かれている。

 その他、実に多くの企業、業界団体などが日本のTPP参加表明について「歓迎」と「要求」のコメントを次々と発している。あげればきりがないが、新聞やウェブサイトから拾ってみる。

◆米国のカーギル社は「歓迎」声明をリリース。同社は穀物をはじめ精肉・製塩等食品全般、金融商品や工業品に至るまで展開する多国籍企業であるが、「TPPは全ての産業分野の物品を含まなければならない」(=例外は認めない) としている(★2)。

◆アーミテージ氏、ナイ氏らによる米国の保守シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」は、TPPの基準を満たすため「日本は農業やサービス分野、労働市場、規制慣行で、過去進まなかった構造改革を促すものでなければならない」としている。CSISのウェブサイトには、「Why Japan Should Join the TPP(なぜ日本はTPPに参加すべきなのか)」という文書が掲載(★3)。ちなみにCSISは「日本の原発はアジア太平洋の安全保障にとって不可欠」という「指示」を日本に出している(アーミテージ・ナイレポート 2012年)。

◆日本の農産物市場を狙う「全米コメ連合会」は、コメを含む全品目を交渉対象にすることを参加の条件とし、日本にとって、米国産米の輸入拡大は必須と表明。(★4)

◆米国最大の農業団体「米国ファーム・ビューロー連盟」のストールマン会長は「TPPは包括的な協定であり、個別分野が除外されてはならない」と主張(★5)

 このすさまじいギャップを見て、「安倍さん、騙されている!」「米国は日本をはめたな。ずるい!」と思うのはあまりに無垢といえるだろう。そもそも、日本と米国の間には今回の参加表明を含めたシナリオは描かれており、安倍首相はただそれに沿って演じたに過ぎないからだ。


朝日新聞(2013年3月17日)

 米国の企業や業界団体、USTRなどにここまでいわれているという現実を、日本の多くの人は知ることができない。なぜならば、マスメディアが伝えないからだ。伝えないどころか、朝日新聞は参加表明後の317日、「TPP、米の報道控えめ」と題した記事を掲載している。朝日新聞とニューヨーク・タイムズ紙のTPP関連記事の本数の比較(20131月~316日まで)を行ない、日米首脳会談も米国では大きく扱われていない、と強調した。

しかし実際には、ニューヨークタイムズは日本のTPP交渉参加表明直後の316日、大きく記事に扱っている(★6)。朝日新聞は、同紙の「1月から316日に報じたTPP関連の記事は10本に過ぎない」と書き、内容はいっさい紹介せずに「本数」という問題にしているが、そのうちの重要な「1本」の要旨が下記である。

「日本の参加は経済的には意味があるが、参加国は交渉を遅滞されられるのではないかと懸念を持っている。農民たちは自民党政権の主要な票田であるが、TPPで農業は壊滅的な打撃を受けるとずっと反対をしてきた。安倍首相はその反対の声がある中で、TPPという自由貿易協定を受け入れるという政治的リスクを選択した。自由貿易の嵐を和らげるため、安倍首相は米国から米などの関税撤廃を除外するという『あいまいな』約束を取り付けている。しかし、交渉の中でこれらの例外を日本が主張すれば、他の工業製品の輸出など日本にとって重要な分野での市場獲得は困難になる。今後は関税撤廃だけでなく、小売りや自動車、健康などの分野にあった日本の『悪名高い障壁』を外国企業のためになくす努力が求められる。日本にとってのTPP参加は、経済大国であり軍事的なプレゼンスも増した中国と渡り合うための大きな一歩でもある。米国にとってのTPPは、オバマ政権のアジア外交の軸であり、米国の輸出拡大の手段だが、米国の自動車産業は、日本が『外国の自動車メーカーに対する閉鎖的で不公正な国内規制』を取り払わない限り、日本のTPP参加には反対するといっている」

 朝日新聞などマスメディアが、「意図的に」これらの米国の報道を無視していることは明らかだ。伝えないならまだしも、「あまり報道されていない=大した問題ではない」とまでいっていることはあまりに罪深い。しかも朝日新聞は、海外向けの英字記事は冒頭のロイターによる記事を発信しているにもかかわらず、国内向けにはこのような有様である。日本国民は英語も読めないし、情報収集能力もない、と思っているのだろうか。もちろん米国のマスメディアが本当に真実を伝えているか、という問題はある。しかし少なくとも、今回のTPP報道で見る限り、米国は自国の「利益」を最大に主張している。

なぜ日本のマスメディアは米国側の報道の中で読み取れる意図を伝えないのか。答えは簡単である。いったんこれらが明らかになれば、農業団体はもちろん多くの反対の声はさらに高まる。安倍首相が操り人形だということが露呈する。国会でも野党はもちろん、自民党内からも反発は出るだろう。そうなれば財界やワシントンと利害を一致させているマスメディアも「困る」からである。

 このすさまじいメディア状況の中で、私たちは「政府に不都合な真実」を常にキャッチし、読み解いていかなければならない。それがTPPを葬り去る最大の手段であるからだ。


 


 

2013年3月9日土曜日

TPP交渉ウォッチ vol.4 国際NGOの活躍―たばこ規制問題に取り組む マリー・アスンタ・コランダイさん

 今回も引き続き、第16TPP交渉会合が行なわれているシンガポールからお伝えしたい。

 会期中、アジア太平洋地域11か国の交渉担当官がここに集まり、膨大な数の交渉分野について9日間をかけて交渉を行う。TPPがカヴァーする分野だけでも30近くあるため、交渉担当官の総数だけでも200名近くに及ぶ。米国やオーストラリア、カナダ、そしてホスト国(今回はシンガポール)は多数の交渉チームを派遣しているが、ブルネイやベトナム、チリ、メキシコなどの国の交渉担当官の数は相対的に少ない。

 そして、この交渉の舞台にて活躍をするのが国際NGOの存在である。私自身も、今回はその一人として参加している。

 日本はまだ交渉参加国ではないため、当たり前だが「交渉参加国のステークホルダー」にはなれない。が、これまで15回重ねられてきた交渉に、交渉参加国の市民社会を代表するNGOや各種団体は根気強く参加し、常に交渉の動きをウォッチしてきた。

 米国のNGO、パブリックシチズンからはロリ・ワラックさんを含め2人が参加。同じく米国のNGO「KEI」はインターネット上の権利や知財関係の専門だ。ニュージーランドからはジェーン・ケルシーさん、マレーシアからは消費者団体、Third World Network、タイのFTAウォッチ、Oxfamなどである。

 その中の一人、NGO「東南アジア・たばこ規制連合(Southeast Asia Tobacco Control Allaiance: SATCA)」(http://seatca.org/)の政策担当マリー・アスンタ・コランダイさんにお話を聞いた。

マリーさん
 マリーさんは、たばこのもたらす害と、貿易問題を20年以上ウォッチしているNGOのベテランだ。大学で教師をしていたこともある。TPP交渉への参加は今回で4回目となる。国籍はマレーシアだが、現在はオーストラリア・シドニーを拠点に活動をしている。「東南アジア・たばこ規制連合」の活動は、たばこが人体にもたらす害悪(間接的な喫煙を含めた二次被害も含めて)を社会的に訴え、たばこを社会からなくす運動が基本だ。そしてもう一つの側面が、たばこの「貿易」「知的所有権」にからむ問題だ。これがマリーさんがTPP交渉に根気強く参加している大きな理由である。

TPPがカヴァーする領域の中で、たばこは、知的財産や物品の貿易など約10の分野に関係してくる品目です」

 現在の日本のTPP反対のネットワークの中には、たばこ規制の問題に取り組む団体は見られず、TPP問題と関係づけられていないように思う、と話してみた。

「実は私は、日本のたばこ産業が政府の独占下にあった頃から注目していて、論文を書いたこともあります。なぜ日本のたばこ産業に注目したかというと、世界の3大たばこ企業は、フィリップ・モリス、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ、そして第3番目が日本の専売公社でした。前者の2社についてはすでにさまざまな情報が市民社会側からも出されていたのですが、日本たばこに関しては何の情報もなかった。だから、私は興味を持って調べ始めたのです」

 実際に、インターネットの検索で、マリーさんの名前と「Japan」「tabaco」という文字を入れてみると、たくさんの書類や論文が出てくる。こんなところで日本のたばこ産業の専門家に出会えると思わず、いろいろと教えていただいた。

1985年の日本のたばこ産業の民営化は、『効率的な経営をして、国際的な競争力をつけるため』とされましたが、実際には米国のUSTRによる圧力からでした。しかしフィリップ・モリスという企業は、USTRと最も近しく、影響を与えることのできる大企業です。日本のたばこ産業民営化の背景には米国たばこ産業の思惑があったことは多くの人が知るところでしょう」。


東南アジアたばこ規制連合のTPP交渉官への要請
 マリアさんたちは、TPP交渉の会期中に、11か国の交渉担当官に向けて要請文(写真参照)を提出した。「TPPは参加国の経済成長に寄与するといわれているが、世界保健機構(WHO)による年間1000億ドルのコストを無視している。そのコストとは、たばこに起因する疾病によって、TPP参加国のうちカナダ、米国、オーストラリア、ニュージーランドの4か国の政府に強いられるコストである」というものだ。

 つまりいくらTPPで経済成長しても、たばこ規制を野放しにしていれば、結果的にコストはかかる、という主張だ。彼女たちのように、たばこ規制の問題に長らく取り組んできたNGOにとって、TPPはまさに大企業のためにあるしくみであり、自由貿易がさらに進めば、これまでの国際社会の取り組みは台無しになる、と考えている。
 
すでに国際的には、WHOによる「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」というものが存在する。保健分野における初めての多数国間条約であり、たばこの消費等が健康に及ぼす悪影響から人びとを保護することを目的とし、たばこに関する広告、包装上の表示等の規制とたばこの規制に関する国際協力について定めるものである。2005227日に発効し、締約国は、たばこ消費の削減に向けて、広告・販売への規制、密輸対策が求められる。日本も批准している。TPP参加国では、米国を除くすべての国が批准している。まさに「TPPと国際条約の戦い」だと彼女はいう。

 マリーさんは、38日に行なわれたステークホルダー会議後の記者会見にて、たばこの規制がTPP交渉においてどのように議論されているのか、何らかの措置が講じられるのかを質問した。特に、WHO条約にのっとり、たばこの害悪について人々にとって必要な情報がきちんと伝えられるのか、と。

「交渉官の答えは、TPPはたばこの規制については視野に入れていない、という答えが返ってきました。国内問題だから、というのです。これまでの自由貿易交渉ではいつも、私たちの知らないところで話が進められてきました」という。

 今回の会合には、「ニュージーランド医学生協会」という団体もステークホルダーとして参加しており、「たばこ産業は他のどの企業とも異なる扱いが必要である、パッケージの表示や広告についても、WHO条約のもとでは企業の社会的責任として、異なる扱いが求められるからだ」という発言もした。だがマリアさんの懸念は強い。

「この問題の詳細は『貿易』の交渉官に丸投げされていますが、私たちが伝えたいのは、国際条約を忘れないでほしい、ということです」
 
 たばこのパッケージへの健康被害の表示問題は、すでに米国とオーストラリアの間で争いとなってきた。ここでは詳しく述べないが、日本でさほど注目されていないこの「たばこ規制」問題を、ぜひ皆さんにも知っていただきたい。

 マリーさんたちは今後も、TPP交渉をウォッチしながらたばこ規制を社会的にアピールをしていくつもりである。日本のTPP反対運動でもぜひ仲間をつくって広げてほしい、私たちの仲間は日本にもいるから紹介をする、と数名の医師、薬剤師の名前を次々とあげてくれた。NGO内での意見調整やキャンペーンの方法など、実践的なアイデアもたくさんいただき、本当に勉強になった。たばこ規制に関する国際会議「APACT2013」が、ちょうど今年8月に日本で開催予定だ(http://www.apact.jp/)。マリーさんも来日を予定している。彼女と再会するときには、日本のTPP反対運動にたばこ規制のグループも加わっているように、帰国したらさっそくアプローチをしてみようと思う。

 TPP交渉にてであった国際NGOのつながりは、会議が終わってからも続いていく。